マルタテイスト は、現在準備中です。

2022/04/18 18:20

長期熟成のワイン
 
味に関しては、どんなワインでも寝かせた方が良いとは言えないようで、ワインによっては長期保存に適さないものもあるようです。

ところが、赤ワインのポリフェノールなどの抗酸化物質(正確には活性酸素ラジカル消去活性:SOSA)は、同じ銘柄の異なるヴィンテージだと、例外なく古い方が抗酸化能が上がるのだそうです。(山梨大学大学院医学工学総合研究部ワイン科学研究センターの報告)

熟成されたワインは美味しいですが、抗酸化効果も古いワインの方が高くなるんですね。

ブドウ種や銘柄によるポリフェノール量の違い

同じ銘柄で違うヴィンテージのワインなら、古い方がポリフェノールの量が多いことをお伝えしましたが、ブドウの種類やワインの銘柄によってポリフェノールの量は違うのでしょうか?


グラフにしたものは、『ワインの科学』の中で紹介されている、「ワイン中のポリフェノール量」をもとに作成したものです。

ポリフェノールは、やはり白ワインよりも赤ワインの方に多く含まれ、赤グレープジュースにも多く含まれていることが分かります。
 
国産ワインの方が含有量が少なく、価格によってもポリフェノール量が違いますが、これはブドウ種の違いによるものだと思われます。

もう一件の調査結果は、山梨大学大学院医学工学総合研究部の研究が発表したもので、こちらは更に多くの銘柄を比較しています。

この調査では、カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)で最も高く、次にイタリアのバローロ(ネッビオーロ種 Nebbiolo)、続いてチリのカベルネが続いています。
 
どうやらポリフェノール量では、カベルネやバローロに軍配が上がるようです。

最も含有量の多いカベルネは、先の調査よりも更に多く、約2900mg/Lで、最も少ない赤ワインで、800mg/L位になっています。
 
ワインの補糖とは?
 
糖を補うというと甘口ワインができるようなイメージですが、補糖はアルコール分を高めるために行われるものです。(因みに甘さを決めるのは発酵の度合いです。完全に糖分がアルコールに変換されると辛口になり、途中で発酵を止めると糖分が残るため甘口になります。)

ブドウの糖分をワイン酵母で発酵させるとアルコールになりますが、この時ブドウの糖度が低いと十分なアルコールが得られないため、ブドウづくりが行われる地域の気象条件や、その年の天候により補糖が行われることがあります。
アルコール分が高いワインはまろやかで、よく「ふくらみ」とか「ボディ」と表現されるような、厚みのある風味豊かなワインになります。

ワインづくりが行われる地域は、北半球の北緯20~50度、南半球の南緯20~40度の辺りですが、ヨーロッパでは日照条件などの理由で、十分な糖度のあるブドウが育ちにくく補糖が必要な国もあり、EUのワイン法では補糖は禁止されていません。
但し、国ごとの規則はあり、補糖を認めいてる主な国は、フランス、チリ、日本、ドイツ(QbA:特定産地上質ワイン以下)などがあります。一方認めていない国は、イタリア、オーストラリア、カリフォルニア(米)、南アフリカ、ドイツ(QmP:最上質ワイン)などがあります。

このように補糖の是非をめぐっては判断が分かれるところですが、十分に成熟したブドウに補糖することは無駄ではあっても、特に品質を落とすようなものではないとの意見もあります。
反対派の主張は、ワインの質はブドウによって決まり、成熟したブドウは単に糖分が多いだけでなくフェノールなどの成分も豊富な良いワインを生むものであるから、安易に補糖に頼らず良いブドウづくりから始めなくてはならないというものです。また、補糖することにより、個性のないワインになる懸念もあるということです。

ただ、糖と酸のバランスも重要で、第三世界(ニューワールド)のワインでは、糖度の比率が高く味にしまりがないものができることがあり、今度は補酸といって酸度を補うことが行われることもありますが、これにも賛否両論あるようです。
補酸をすると味がフレッシュでシャープになるだけでなく、赤ワインの場合ではより赤味の強いきれいな色に仕上がり、抗菌作用もアップします。

一時期EUでは補糖が当たり前の時代がありました。マルタでもその時期は補糖が行われていましたが、現在はマルタの気象条件でできるブドウには補糖を行う必要がないという見解と、良いブドウづくりに注力しようということから、補糖はしない方針に変わったそうです。

肉の煮込み料理に赤ワインを使うわけ
 
お肉を煮る際に赤ワインを使うと、お肉の臭みが取り除かれ、赤い色味を加えることでお料理が美味しそうな仕上がりになります。
 
そしてもう一つの重要な役割は、お肉を早く美味しく柔らかくすることです。

固く噛みきれないくらいのお肉を水だけで煮込んだ場合、120分でも柔らかくならないのですが、ワインを使って煮込んだ場合は30分程度で噛み切れるだけの柔らかさにります。

このお肉の軟化効果は、赤ワインだけでなく白ワインにもあります。

赤ワインの場合は、肉の軟化促進効果だけでなく、肉汁保持効果もあり食感の良さもアップします。
 
ワイン煮にアルコール分は含まれる?
 
お子さんやアルコールが全くダメな方は、ワインや日本酒などを使ったお料理を食べても大丈夫なのでしょうか?

結論から言うと、厳密にアルコール摂取を控えられているような方は、やめておかれた方が良いと思います。

アメリカで行われた実験結果によると、調理法によるものの、ワインやシェリー酒を使った料理には、使ったアルコールの4~49%が残っていたそうです。

実験では、720ccのワインを30分煮込んだ場合、約50%のワインがとび、3時間半煮込んだ場合は、約95%のアルコールがとんだそうです。

この赤ワインの煮込み料理を、仮に6人で取り分けたとすると、30分煮込んだ方には、一皿あたりワイン約60cc分、3時間半煮込んだ方で約6cc分のアルコールが含まれる計算になります。

つまり長時間煮込んだお料理であっても、少量とは言え、幾分かのアルコールを含有しています。

また、ブランディなどの度数の高いアルコールに火をつけて、アルコール分をとばす調理法では、炎が消えるまでにとぶアルコール分は20%だということです。